
映画『胴鳴り』の舞台挨拶が4月25日から5月1日まで連日開催されました!
全日、楫野裕監督が登壇!日替わりで出演者の方々に登壇いただきました。
古屋隆太さん(大森直秀 役) 4月25日~4月27日、4月30日
三谷菜々美さん(西沢光 役) 4月25日~4月27日
小原徳子さん(奥野沙月 役) 4月25日、4月27日、5月1日
吉田庸さん(早川翔 役) 4月27日
平川はる香さん(片桐雪乃 役) 4月27日
笹峯愛さん(西沢真由美 役) 4月30日
今回は4月27日の舞台挨拶の模様をご紹介いたします!
全舞台挨拶の中でも一番ゲストの方の人数が多く、様々な角度から『胴鳴り』について語ってくださいました。是非本編を見てから一読ください! 読んだらもう一度観たくなること間違いなし。
映画『胴鳴り』

【ストーリー】
ある年の夏、新潟で生まれ育ち高校を卒業したばかりの西沢光は母・真由美に黙ってまだ会った事のない父に会う為に1人東京へやってくる。父・大森直秀は大ヒットテレビドラマの脚本家として脚光を浴びている。光はかつて恋人同士であった真由美と直秀の間にできた婚外子である。
突然訪ねてきた娘に戸惑う直秀だったが、娘の存在を知りながら関わろうとしなかった事に罪悪感を抱いていた。直秀は恋人・沙月とのドライブに光を連れていく。大磯の海岸で3人は束の間のときを過ごす…
数日後、新潟へ戻ったはずの光が再び直秀の目の前に現れる。母に会って欲しいという光。直秀は助手席に光を乗せて真由美の待つ新潟へ向かう——

画像左から平川はる香さん、吉田庸さん、古屋隆太さん、三谷菜々美さん、小原徳子さん、楫野裕監督
司会は楫野監督が務め、お話は途切れることなく和気あいあいとした雰囲気で進みました。
——古屋さんからざっくり思い入れに残っていることをお願いします。
古屋さん
「沢山ありすぎて! 多分、質問していただければどんな質問でも、その時はこうでしたって面白いエピソードトークができるって自信があるくらい、撮影期間は楽しかったですし、キャスト・スタッフも素敵な人たちばかりで、いい思い出しかないですね。」
平川さん
「ロードムービーがジャンルとして好きで、好きな映画のテイストでした。とにかく車がめっちゃくちゃカッコいい! この規模感(の映画)でリッチな風を感じるのがすごい興奮できて」
——車について、(持ち主の)直秀はファミリーカーや軽ではないだろうと。とにかく目立つ、画的にカッコいい車。制作の光永さんが見つけて格安で借りられました。乗り心地はどうでした?
古屋さん
「正直良くなかったです。ステアリングも重いし、クラッチの繋ぎもかなり難しかったですし……車内がオイルの臭いなのか排ガスなのか、けむくて。降りるとなんか全身けむいなと」
——お二人(三谷さん、小原さん)は実際に古屋さんが運転する車に乗っていました。どうでした。ちょうどこの近く、134号線の海沿いを車で走ったシーンがありましたけど。
小原さん
「私は好きでした。危うい感じ?(笑) 今の車は事故っても大丈夫だけどこの車はちょっとぶつかったら死ぬなみたいな。見た目重視の車の中身って感じで、それが無骨で。エアコンのかかりも悪かったじゃないですか。それも楽しくて」
三谷さん
「(古屋さんの)運転がお上手で。ただ助手席に乗って光でいる。本当にただドライブを楽しんでいる感じでした。その期間も積み重ねて直秀といたので、すごい良い時間でした」
——吉田さん、古屋さん、おふたりは演じてみてどうでしたか?
古屋さん
「吉田庸さん。大好きな役者さんで安心感があって楽しかったです。『公園で遊具を味わってください』という演出指示にも軽やかに滑り台を逆から駆け上がったり」
吉田さん
「あのとき緊張してましたね。あのシーンが撮影で一番最初のシーンで。古屋さんとは元々面識がありましたが、共演するのは初めてで。初めてが重なって。あれ(遊具を味わう)がいいウォーミングアップでした」
——早川好きですね。飄々としているんだけど、交流もうまい。だけど何を考えているか分からない。心がないっていうか。(一同:笑) この作品の中で一番心が見えない人間ではありますよね。(吉田さんは)何を考えているか分からない役をやらせたらピカイチ。
古屋さん
「平川さんとのシーンもすべてを預けられる安心感が半端なくて。大森直秀という作家のリアリティは、平川さんが支えてくださった」
三谷さん
「エキストラの方が沢山いらっしゃる中で、しーんとしているインタビューになると想像していたら、平川さんの佇まいと『大森さんって』っていう最初の一言が始まった瞬間に場の空気が和やかになって自然と笑いが生まれていました」
平川さん
「エキストラの方たちの反応が良くて、こちらとしても楽しく演じることができました」
小原さん
「直秀をカッコつけさせるインタビュアーとしての手腕もすごかったです」
——あの時の直秀のうさん臭さが絶妙で。ふたり(直秀と雪乃)のやりとりの中から直秀の、その場では誠実なんだけど、不誠実な部分が出ていました。
——三谷さんの思い入れに残っていることはどうですか?
三谷さん
「思い出といったら生しらす(☆)なんですけど……(笑) 雷が鳴っているなか、ひとりで暴れているシーンは何回か撮り直したりしていて。雷のタイミングが全部監督が指示していたり、雨も人工的にスタッフの方が降らせていて、素晴らしいコンディションが整っていた。シーンとしては激しめだけど、監督が(淡々と)『はい今雷』と指示していたのが印象に残ってます。全部計算されていてつくられているんだなーというギャップがあるシーンです」
☆古屋さんが大磯で差し入れしてくれた生しらすがとても美味しかったという出来事。
——光に対して、沙月っていうのは大人。お父さんの恋人であるという複雑な関係ですよね。
小原さん
「出会いのシーンは本当に印象に残ってます。彼氏の子どもと会うって嫌じゃないですか。 この映画の気まずいシーンが大好きで。(沙月は)整然としているけど、本当はいろいろ聞きたい」
古屋さん
「(光にとって沙月の対応は)100点満点の対応でしたね。優しいし、親切だし、自分から自己紹介してくれるし。海でも楽しそうだった」
小原さん
「沙月は光で良かったと思っていて……。フラットで素直な光も気が付いたら、話してたし歌っていた。似てるものを感じていたんじゃないかな」
古屋さん
「帰り道で直秀が「ふたりで何話してたんだ」って聞いたら「気になる?」って返すところが、観ると怖いんですよ。沙月、機嫌悪そうだな? みたいな。そもそもが嫌なセッティングじゃないですか」
小原さん
「この会が嫌だっていうよりも、(直秀に光のことを)隠されていたことも含めて」
——そういう気まずいシーンを(作中で)盛り込んでいるんですけど、多分一番気まずいシーンが直秀がビンタされた後の食事のシーン。あのただ食事をするっていう長いカットは自分が最初から撮りたかったカットで。気まずいんだけど幸せ? 天国みたいな感じ。
古屋さん
「あれはあれで家族として成立してますよね」
——カットしちゃったところについても話しましょうか
吉田さん
「(カットされたけど)脚本上の最後のシーンが僕(早川)が直秀に電話をして、繋がらなくて『あの人、もうダメだ』って言うシーンで終わる」
古屋さん
「光が遊びにきたって沙月とテレビ電話するシーンとか。家族3人のシーンも割と喋ってた。台本上だとあって」
吉田さん
「会話が無くなって、せっかく家族3人揃ったのに、どんどん言葉少なになっていくのを撮っているのがすごいよくて。あそこに関してはカットして良かったんじゃないかと。言葉はないんだけど微妙な距離感が伝わっちゃう」
古屋さん
「(だから)浜辺で撮ってもらった写真の光の笑顔が際立つ。してやったりというか……。……何故か今……泣きそうになってるくらい……」
三谷さん
「現像しないと見れないし、ふたり(直秀と真由美)は後ろにいるから光が笑っていることに気が付かない。だからこそしてやったり感が出てますよね」
古屋さん
「直秀は光からかなり良いものを貰ったんじゃないかと。昨日の舞台挨拶でも『胴鳴り』の続編をつくってほしいと話しましたけど、そこで(直秀が)早川さんから干されても頑張って書き続けていれば、今までとは違うものが書けるんじゃないかって想像を……光のおかげで成長しているんじゃないかな」

舞台挨拶ゲストサイン入りポスター。タイトルから時計周りに、楫野裕監督、小原徳子さん、吉田庸さん、光永惇さん(制作)、光永琴恵さん(車両)、山崎優さん(制作)、宮下浩平さん(撮影)、平川はる香さん、古屋隆太さん、三谷菜々美さん、笹峯愛さんのサイン。
興味深い時間はあっという間です。
最後に記念撮影の時間を設けていただき、舞台挨拶は無事終了いたしました。
『胴鳴り』は5/8(木)まで上映中! ※火曜休館日 ※5/4休映日
「それぞれの孤独の形があって、それが変化していく様がすごく好きで。皆様(観客)の中にある孤独もどこかのキャラクターと重なって、持って帰っていただけたらと思います」
と小原さんは語ってくださいました。
静謐なロードムービーですが音楽や効果音がとても印象的でそれと響き合うキャラクターの心象に心の隙間が揺さぶられます。
静かに、激しく、のしかかる『胴鳴り』を観終えたときの余韻をぜひ味わってください。
<クレジット>
監督・脚本・編集:楫野裕
出演:古屋隆太、三谷菜々美、笹峯愛、稲荷卓央、小原徳子、吉田庸、平川はる香
撮影:宮下浩平
制作進行:光永惇、山崎優
車両:上田拓史、大嶋丈仁、光永琴恵
2024/日本/カラー/16:9/5.1ch/110分/PG12 ©The 7th Poetry Society
主催:小田原シネマ館
運営協力:FM小田原株式会社 / タウンニュース / 一般社団法人カフネ